2016年 12月 14日

拙著「魔女の12カ月」書評

素晴らしい書評をいただきました。
書いてくださった方は白鴎大学教育学部教授の岡田晴恵先生です。

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「魔女の12ヶ月」 飯島都陽子著 

 人類の長い歴史の中で、うつる病気(感染症)に対して有効な薬が初めて開発されたのは、ほんの百年
前です。それまでは、病は治すものではなく、癒すものでした。完治が望めない時代、病気の症状をなだ
め癒しながら、なんとか乗り越えて、人々は生きながらえ、子孫を繋いでいったのです。癒すことは、ひと
ときは癒え、また病むのです。でも、また、それを癒しながら生きていく、そんな癒しの知恵を持っていた
のが魔女であったのだろうと、この本を読んで思いました。
 魔女は、森のハーブに精通し、症状緩和や滋養強壮にも役立て、木々のざわめきや風の匂い、月の光り
を一身に感じて、自然と調和して生きる術を身につけていたのでしょう。本書は、そんな魔女の暮らしと
知恵を12ヶ月の月ごとに季節を追いながら、紹介してくれます。
著者は古代ケルト文化やその伝承の世界にも詳しく、さらにハーブの薬効やその利用のプロでもあります。
そんな著者の描いた「魔女の12ヶ月」は、まるでドイツの空を飛ぶ魔女が著者の筆を借りて、その秘
密を明かしてくれているかのような、そんな不思議な気持ちにさえなるのです(いや、著者が本当の魔女
かもしれません)。
 そして、私の気持ちをうきうきと楽しくさせてくれた、生き生きとした挿画の数々。ほんとうに美味し
そうで作ってみたくなる魔女のレシピ。12月のクリスマスプディングでは、ディケンズの「クリスマス・
キャロル」に出てきたヨーロッパの伝統的なお料理に出会えました。魔女の手仕事は、さっそくトライ
したら、楽しくて思わずハマりそうなものばかり。私は魔女の魔除けのサシエを作って、お守りにした
いと思いました。
 さらにこの本に惹かれたのは、古代からの伝承や言い伝え、アンデルセン童話や北欧神話まで魔女
にまつわるお話がきちんと語られているところです。「魔女の文化史」とも言えるような、読みごたえも
ありました。そして読了後には、私も、ヴァルプルギスの夜にブロッケン山の魔女のお祭りに参加して
みたい、そんな気持ちに痛烈に駆られてしまっています。魔女の好きな方には、是非、お薦めしたい
一冊です。

白鴎大学 教育学部教授
 岡田晴恵


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岡田先生とは当店の魔女をHPでご購入下さっているのがきっかけで、お会いするようになりました。
先生はウイルスに関するご本を70冊以上も出版なさってる感染症の専門家です。
そればかりかドイツ、マールブルグ大学留学中から温めていたという児童向きの「病気の魔女と薬の
魔女」「ローズと魔法の薬」シリーズ(学習研究社)を著され、全国読書感想文推薦書にもなってい
ます。人間を不幸にするはずのペストやコレラの魔女たちを単に悪者と捉えずウイルスとしっかり向き
合い、その実態を理解しようとする科学者の目があるからこそ、主人公の見習い魔女ローズの存在も
活き活きとしているのです。また「病と癒しの人間史」(日本評論社)は、病と人間との歴史が岡田先
生の愛情ある科学者の目を通してヨーロッパの美しい街並みと共に語られているエッセイで、私の好
きな一冊です。素晴らしい先生にこのような立派な書評を頂きとても嬉しく思います。
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by gt-toyoko | 2016-12-14 17:42 | 魔女のこと


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