魔女通信

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2007年 12月 22日

もうひとつの聖木

クリスマスの聖木といえば、すぐ思い浮かぶのはモミの木ではないでしょうか。
ヤドリギもまたクリスマスに飾られる木であります。
クリスマスのヤドリギの下では誰しもキスをすることが許されるとか。

ヨーロッパでは、魔除け、万病薬、火事避け、黄金のありかを教え、願い事をか
なえるなど、この木の霊力は近代まで言い伝えられ、信じられてきました。
というのも、その特異な生い立ちによると思われます。
ヤドリギは半寄生植物なので、土や水に直接ふれることなく宿主の木に宙に浮い
た形で生育し、しかも冬にも枯れないと云う不思議な生命力から、古代ヨーロッ
パ各地で特別な木として神聖視されてきたのです。

日本でも冬、葉の落ちた林を歩いていると、まるで鳥の巣のように木の枝叉に緑
葉のヤドリギを見ることがあります。
一昨年魔女祭りでドイツを訪れた時は、若葉が芽吹いたばかりの裸の木に大きな
ヤドリギの塊をいくつも見ることが出来ました。
歩いていても、ドライブの車窓からも、列車からも沢山のヤドリギを見るにつけ、
一種独特の様子は異国の文化ながら、崇拝の対象にした古人の心境を理解できた
気がしたものです。

ヤドリギの真珠のような実は、北欧神話では、光と善と木の神であるバルデルの
死を悼んだ悲しみの涙とされています。
ちょうど今ごろ実を付けるので、鳥にとっては冬の貴重な食料。
しかしながら人間には有毒だとか。         

私がヤドリギを初めて知ったのは、テキスタイルデザインの仕事をしていた頃、
アールヌーボの資料の中にこの植物を見つけた時です。
何とも不思議な形に目をみはりました。
図案化されたとばかりと思っていた流動的な葉も枝も、実際見るとそのままの植
物でした。それ以来神秘的で美しいこの植物に魅せられています。

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by gt-toyoko | 2007-12-22 19:49 | ハーブ・自然


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