さくらの花もちらほら散り始め、わたしの店にも風と共にさくらの花びら
がご来店です。
まだこの週末はお花見を楽しめそうですね。
さくらの花には日本人の心を捉える何かがあるらしく、つい佇んでじっと
見入ってしまいます。
最近読んだ梨木香歩著「家守奇譚」の中に桜の話があります。
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毎日さくらを眺めていた主人公の元に、ある夜明け、きちんと髪を結った
見知らぬ女性が旅行鞄のようなものを脇に、部屋の隅に正座している。
ー暇乞いに参りました。とその女性は手をついて深々と礼をする。
そして、やがてぼんやりとその人は透き通り消えていってしまった・・。
ーそれは桜鬼(はなおに)ですよ。と隣のおかみさんは云う。
彼女が座していたあたりに、さくらの花びらの吹き溜まりがあったそうな。
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桜鬼。そんな鬼が暇乞いに訪れるほど桜をほれぼれ眺めたことはないかも
知れない・・。